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概 要(床暖房)
主として対流を利用する石油ファンヒーターやエア・コンディショナーによる暖房は温かい空気が天井近くに留まりやすいため、天井ファンその他により攪拌を行う必要があるため、建物の床面を温水で加熱したり、電気で加熱する床暖房が注目されてきている。
床暖房は「遠赤外線の輻射」を利用した暖房方式で、主としている対流を利用する石油ファンヒーターやエア・コンディショナー等の暖房に比べて自然で快適な暖房感いわゆる「日向ぼっこの暖かさ」が得られる特徴をもっている。また床面が暖かく室内の温度のムラのない「頭寒足熱」型の室内環境を作ることができる。
また、床材にタイルなどのセラミック系材料を使う事により、遠赤外線効果でより快適な床暖房効果を得ることも可能である。
用途 | 内容 | 適用対象 | 敷設率 |
---|---|---|---|
主暖房 | 床暖房で部屋の暖房を行う。 | 住宅居間、子供室、食堂etc、保育室、老人ホーム、養護学校 | 70%以上 |
補助暖房 | 対流暖房された部分の床を加熱し暖房感を向上、底冷え防止を図る。 | 同上 一般建築物(ロビー、ホールetc |
適宜 |
局部暖房 | 台所の調理台前、風呂場などの床を温め、同時に、乾燥を促進する。 | 住宅 台所、風呂の洗い場、洗面所、トイレ |
適宜 |
◆床暖房の種類と構造
◆床暖房単位負荷値(W/u)
建物の種類 | 木造 | コンクリート | |||
窓の構造 | 一重 | 二重 | 一重 | 二重 | |
断熱材 | なし | あり | あり | なし | あり |
一般地域 | 186 {160} |
128 |
− | 128 {110} |
− |
寒冷地域 | − | − | 174 {150} |
− | 116 {100} |
◆床暖房設備の比較
種類 | 温水式床暖房 | 電気式床暖房 | 蓄熱式深夜電力床暖房 | ||||
灯油・ガス式 | 一般電力 | 深夜電力 | |||||
快適性 | 床 暖房 立ち上がり |
△ | スタート 時間が 必要 |
△ | スタート時間が 必要 |
− | 24時間暖房のため立ち上がり時間要しない |
室温特徴 | ◎ | 「頭寒足熱」型 | ◎ | 「頭寒足熱」型 | ◎ | 「頭寒足熱」型 | |
室内環境 | ◎ | 浮遊粉塵量も比較的少ない。 水の流れる音がする事がある |
◎ | 浮遊粉塵量も比較的少ない。 とても静か |
◎ | 浮遊粉塵量も比較的少ない。 とても静か |
|
安全性 | 有害ガス等 | ◎ | 発生しない。 | ◎ | 発生しない。 | ◎ | 発生しない。 |
火傷・火災 | ◎ | 低温火傷の可能性がある。 | ◎ | 低温火傷の可能性がある。 | ◎ | 昼間は低温火傷の可能性がまったくない。 | |
設備関係 | 設備設置スペース | × | ボイラー・オイルタンクの設置スペースが必要 | 〇 | 大面積の時は制御盤の設置スペースが必要 | 〇 | 大面積の時は制御盤の設置スペースが必要 |
メンテナンスの必要性 | × | 機器の定期的補修が必要 | ◎ | ほとんど必要ない | ほとんど必要ない | ||
耐久性 | × | ボイラーは8~10年ごとで交換が必要 | ◎ | 半永久的 | ◎ | 半永久的 | |
イニシャル コスト |
◎ | 一番安い | △ | 温水式よりは高いが蓄熱式よりは若干安い | × | 一番高い | |
ランニング コスト |
◎ | 灯油95円/Lで電気式より 若干安い。 | × | 蓄熱式より2〜3倍高い | △ | 深夜電力を使用するので、安い | |
× | 都市ガスの場合は電気式より 1.5倍高い |
設計上の留意点
床暖房は、以下の点に注意して選定・設計いたします。
◆ 床暖房の設置はどの部屋でもメリットはありますが、特にリビングなどの長時間暖房する部屋が適しています。 居住室だけではなく、洗面所、脱衣室といった非居住空間に入れることも、温度差をなくす意味で重要です。
◆ 住宅の断熱をしっかり行う必要があります。
◆ 建築との取り合いに配慮した設計を行います。床構造や選定した仕上げ材の種類に合わせて、最適な床暖房パネ ルと床構成を選定します。